GID特例法改正に後ろ向きな自民党を批判
12月5日に開催された参議院憲法審査会で、立憲民主党の石川大我参議(全国比例区選出)は、「政府の姿勢は、決定から約1ヶ月半、(GID特例法の改正について)具体的な動きは見えず、後ろ向きと言わざるを得ません」と述べ、GID特例法の改正作業が進まない状況を批判しました。
また、11月20日の参議院本会議で行われた片山さつき議員の質問を念頭に「自民党からは、最高裁の決定に従い法改正を進めるどころか、トランスジェンダー差別にも繋がりかねないような、発言が相次いでおり、極めて由々しき事態」と述べ、自民党議員から繰り返されるトランス女性ヘイト発言についても厳しく批判しました。
石川氏は、トランス女性の置かれている現状について「公衆浴場については、厚労省の通知により『身体的な特徴をもって判断する』とのルールがあり、“本人の性自認のみ”では女湯に入ません。また、たとえ、外観要件がなくなった場合の“男性器のある戸籍上女性”についても同様に女湯に入ることはできないのです。こうしたルールについて、当事者団体は同意し、異議を唱えていません」と話し、誤った世間の認識のみを本会議場で述べた片山氏を批判しました。また、「国会議員として行うべきことは差別を煽るのではなく、そうした誤解や偏見に対して、正確な情報を知らせることではないでしょうか」と訴えました。
また、実際のトランスジェンダー女性が置かれている状態にも触れ、「(トランス女性は)差別や偏見を恐れ、公衆浴場はもちろん、トイレを利用する際もコンビニの男女兼用トイレを探し回るなど苦労しています。トイレを我慢するあまり、膀胱炎になったという話すら聞きます」とLGBT当事者ならではの具体的な例も挙げ、説明しました。
最後に石川氏は「女性の安心・安全とトランスジェンダー女性の人権は対立する概念ではありません」とし、「全ての人が安心して利用できる公共施設を作るにはどうしたら良いか、考えていくのが健全な社会です。トランスジェンダーの人たちの受けている差別や偏見、苦労に心を寄せることが今、求められています」と発言を締めくくりました。(編集部)
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