自民党 片山さつき参議 公衆浴場やトイレ「性自認のみで立入れる危険性があるのではないかとの強い不安の声」ある

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一方的にトランス女性を危険視

 11月20日の参議院本会議で代表質問に立った自民党の片山さつき議員(全国比例区)は、出生時の性と性自認が一致しないトランスジェンダーの女性について取り上げました。

 片山氏は「公衆浴場やトイレ、更衣室に本人の性自認のみで立ち入れるようになる危険性があるのではないか、との強い不安の声が押し寄せている」と主張しました。

 また、LGBT理解増進法成立時に、自民党議員102人で設立した、全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟が「女性専用スペースを守る議員立法も考えるべき」と声明を出したことも紹介しました。

トランス女性の生活実態 見ていない

 しかし、実際のトランスジェンダーの女性は、差別や偏見を恐れ、女性用の浴場はもとより、トイレについても女性用を利用出来ないのが現状です。中にはトイレを我慢して膀胱炎になったり、コンビニの男女兼用トイレを探すなどして生活している実態があります。また、浴場については厚労省の通知により「身体的な特徴をもって判断する」との原則は全く変わらず、「男性器のある女性」が女湯に入れるようになるわけではありません。

 片山議員はこうした事実には全く触れず、不安を煽るような質問を続けました。議場からは「ヘイトをやめろ」「差別を広げるな」などのヤジが多く飛びました。現状を見ない片山氏の質問は、こうしたトランスジェンダーの人たちがあたかも、男女別の施設を無理やり使う人たち、との印象を広げ、いわゆる変質者と混同させるなど、偏見をあおる悪質なものと言わざるを得ません。

 以下、片山氏の質問内容と岸田総理の答弁の要点をお伝えします。(編集部)

<片山氏質問要点と岸田総理答弁>

片山さつき議員(参議院中継より)

○片山さつき議員
・「経産省トイレ判決、性同一性障害特例法の生殖不能要件違憲決定以降、全国の女性や女児を持つ父親から、学校のトイレやプールの更衣室、公衆浴場、旅行、ホテル、旅館の大浴場等を、従来、生物学的な区分ないし外部から分かる身体的特徴で男女区分を判断されてきたものが、御本人の性自認のみで立ち入れるようになる危険性があるのではないかという非常に強い不安の声が押し寄せている」

・性自認女性を主張して公衆浴場の女湯に侵入し逮捕された男性の報道の例を出し、「今後、違憲状態を解消していく上で、これからも逮捕できるのか、注意した側がかえって差別だと訴えられないかというような心配をしておられる」事業者からは、「不安、苦情、そして営業権への侵害という声も上がっております」と問題提起。

・「国民の不安を取り除くため、立法府と執行する行政に課せられている責任は非常に重い」とし、「LGBT理解増進法12条には、全ての国民が安心して生活できることとなるような観点から、政府に指針の策定が求められています。私たちの議連も、必要なら女性専用スペースを守る議員立法も考えるべきとの方針も含めた声明を既に出しております」と議員立法の必要性にも言及。

・「日本全国の6400万人の女性たちの安心と安
全、言わば究極生存権を現状より1ミリたりとも危うくすることがないように、岸田総理の基本的なお考えをお伺いする」とし、質問を終えました。

岸田文雄総理(参議院中継より)

●岸田文雄総理大臣
・岸田総理は片山氏の質問に具体的には触れず、「女性の安心と安全を守ることは重要であり、女性を含め、全ての国民がひとしく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるべきものである、このことは言うまでもありません。政府としては、多様性が尊重され、性的マイノリティーの方もマジョリティーの方も含めた全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、しっかりと取り組んでまいります。理解増進に関する指針の策定については、様々な方々からの多様な意見を丁寧に伺いながら検討を進めてまいります」と一般論での答弁に留めました。

<参考記事>
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