海外/国会)21日、タイ、下院で同性婚法案可決

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遂にタイでも同性婚法成立の見通し!

2023年12月21日、タイ王国の国民議会(立法府)では、民法・商法改正案(同性婚を可能とする法律案)の採決が下院(定数500人)で行われ、371人が出席(129人が欠席)の中、360人が賛成、10人が反対、1人が白票(立場を示さない)、棄権は0人で圧倒的な賛成で可決されました。本法案に関しては先月11月21日にすでにタイ政府において閣議で承認されており、12月中に審議入りするとされていました。筆者のもとにはタイ政府関係者から12月12日に審議入りされる予定であるとの情報が寄せられていましたが(12月12日が第2期常会の初日)、10日ほど遅れた12月21日、遂に下院(日本でいう衆議院)で採決、可決されました。

タイ下院の本会議場(筆者:撮影)

日本における同性婚〜立法・司法〜

現在、日本でも同性婚の法制化に向けて、立憲民主党を中心に議員立法が提出されていますが、今日現在、審議入りすることなく棚ざらしにされています。民間では、「結婚の自由をすべての人に訴訟(いわゆる同性婚訴訟)」が2019年2月14日に始まりました。「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、法律上の性別が同じカップルが結婚できないことが​憲法違反だと正面から問う、日本で初めての訴訟で、札幌、東京、名古屋、大阪の裁判所で一斉に提訴された後、2019年9月には福岡の裁判所でも始められました。また、東京では2021年、二次訴訟も始められています。筆者は、最初に判決が出た札幌、東京、大阪の傍聴に行きましたが、「違憲」、「違憲状態」などの判決が出るなど、日本でも国会内の審議は一向に進まないものの、司法の場では少しずつではありますが、前進していると感じることができます。

岸田文雄首相は、本年3月6日の参議院予算委員会にて、「同性婚については、一人一人の家族観ですとか幅広い国民生活に関わる課題であるからして、こうした求める声もある中、是非、国民の議論や国会での議論、さらには裁判の様々な行方、そして地方自治体におけるパートナーシップ制度のこの状況、こういったものをしっかり踏まえながら議論を進めていくべき」と石川大我参議院議員に対して答弁しました。国民の議論(声)や自治体におけるパートナーシップ制度の状況はいずれも70%を超えており(同性婚賛成率、パートナーシップ制度の人口ベースでの導入率)、これ以上立法府(国会)が動かないということになれば、立法不作為、あるいは行政不作為と言わざるをえません。

法務大臣のこんな”びっくり”答弁も・・・

日本の国会でも代表質問(本会議)や予算委員会、法務委員会など様々な場面において同性婚の導入について質疑が行われてきました。その都度、政府の答弁はほとんど変わらず「我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要する」というコピペ答弁が繰り返されてきました。このコピペの元となった原文答弁は、2015年2月18日に参議院本会議で、故安倍晋三首相(当時)の答弁です。8年以上もこのコピペ答弁が繰り返し用いられ、慎重な検討も、議論も行われてこなったことは明らかです。検討を要するのであれば、今すぐにでも検討を始めればいいのです。

さて、本年11月14日の参議院法務委員会で小泉龍司法相が”びっくり”答弁を行いました。明らかに官僚が作った答弁書を読んでいる様子でしたので、小泉法相本人の私見ではなく、政府としての見解なのだろうと思いますが、まずは大臣自らの意見を述べているのではないかと思われる様子をご覧ください。

法務委員会にて軽快に答弁を行う小泉法相

次に、”びっくり”答弁を行う小泉法相です。決して小泉法相がびっくりしているのではなく、その答弁内容にわたし達がびっくりさせられた、というものです。先に質疑の議事録を文字でご覧ください。

(石川大我委員)結婚(同性婚)を認めるというような法改正をした場合にどんな不都合が生じるのかというのは、私はよく分からないんです。世界の国々では、もう同性婚の制度を認めて、これをやめようというふうにした国というのは、大臣、一つもないわけですね。つまり、制度を導入した、だけれどもこれはちょっとまずかったんじゃないかと、だからこれやめにしましょうというような国というのは一つもこれまでないわけで、そういった意味では、この同性婚という制度は幸せにする人を増やすけれども、不幸になる人は僕は一人もいないというふうに思うわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。

(小泉龍司大臣)この同性婚を導入した場合、親子関係に例えば次のような影響が及ぶということが指摘をされております。これ、女性同士のカップルが同性婚によって結婚したと、婚姻と認められたというときに、一方の女性が出産した子について、一方の女性が出産した子について、他方の女性が子の親となるのか、親となるとしても、女性たる、女性としての父親となるのか、もう一人の女性たる母、二人目の母になるのか、あるいは新たな概念をそこにつくり出す必要があるのか、こういった点についての検討が必要になってまいります。また、それについての国民の判断も必要になってくると思います。そして、その同性婚の御夫婦と親族関係を結ぶ方々が周りにいらっしゃるわけでありまして、当然、権利義務関係に影響が及ぶということになります。

・・・。

”同性婚を導入した場合、親子関係に例えば次のような影響が及ぶということが指摘をされております。これ、女性同士のカップルが同性婚によって結婚したと、婚姻と認められたというときに、一方の女性が出産した子について、一方の女性が出産した子について、他方の女性が子の親となるのか、親となるとしても、女性たる、か女性としての父親となるのか

父親!?なるわけがないでしょう!!笑
そんな超超前衛的(もちろん皮肉です)なシステム構築がこの国でできるわけもないですし、この答弁書を法務省の官僚が作ったと考えると、本当に情けないというか恥ずかしいというか、小学生の作文だとしても「ダメだこりゃ」となる内容の答弁書を作る法務官僚。そしてそれをそのまま読み上げるだけの法務大臣。少なくとも小泉法相はこの答弁書に関しては初見だったのでしょう。まるで役者さんたちの台本の初見読み合わせのように、台本(答弁書)に穴が開くのではないかと思うほど目を近づけて読み上げる小泉法相。。。

打って変わって答弁書を読み上げる小泉法相

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