写真上 著名なブロガーのヤミさんは、「結婚したゲイは全員無料で食事ができる」レストランの情報を書き込んだ。(ヤミさんのXから)
タイでは昨年6月に結婚平等法案が議会上院で賛成多数で可決された後、9月に王室で承認され、120日後の今月23日に施行されました。この法律により、同性カップルは結婚や離婚が可能になり、共同資産の管理や相続、税制上の優遇措置、医療制度の利用、遺族給付、養子縁組など、結婚に伴う義務や権利が保障されることになります。
また、日本の民法にあたる民商法典の「男性と女性」「夫と妻」という言葉が「個人」「結婚のパートナー」に改正されました。一方、法律では依然として「母親」「父親」として定義されているため、同性カップルが子どもを養子縁組する際に、影響があるのではないかという懸念も残されているといいます。
タイが多様性を受け入れ、あらゆる形の愛を認める姿勢の表れ
アジアの国で同性婚が法制化されたのは台湾、ネパールに続く3例目で、東南アジアでは初めてです。当日は、タイ東部の海岸リゾート、パタヤから北部の古都チェンマイまで、各地で祝賀イベントが開催され、首都・バンコクのショッピングモールで同性カップルが一斉に婚姻届けを提出するイベントが開かれるなど、当日、首都バンコクでは661組、タイ全土では1832組が結婚届けを出したそうです。
施行日の前週に、国連やタイ政府が各国の大使館や性的少数者のカップルや活動家らを招いたイベントで、ペートータン首相は、同性婚の法制化について「タイが多様性を受け入れ、あらゆる形の愛を認めるという姿勢の表れ」と述べています。
また、国連のミカエラ・フリベリア・ストリー常駐調整官が「タイは地域の先陣を切って、正しいことのために何が出来るかを示した。ほかの国もそうした動きを直視し、人権を守り、少数者を受け入れ、差別をなくすためのものだと考えて欲しい」と訴えました。
セター・タウィーシン前首相も22日、結婚を祝うイベントに出席し、トランプ米大統領を皮肉るように「最近、ある国の指導者が性別は2つしかないと発言したが、我が国はもっと寛容だ」と語っています。
結婚したゲイの俳優パナクールさん「ついに愛が勝利した!」
結婚したカップルの中には、2週間前に非公式の式を挙げたばかりでゲイの俳優アピワット・アピワットサイリーさんとサッパヌー・パナクールさんもいて、パナクールさんはインスタグラムに「ついに愛が勝利した!今日は私たちがついに愛し、愛され、自分たちのやり方で自分たちの家族を築くことが許される歴史的かつ注目すべき日です」と投稿しました。共同通信のインタビューに、同性の女性と結婚したポイナパットさん(33)は「長年待ち望んでいた。配偶者と認められる意味は大きい」と語りました。
性的マイノリティ寛容アピールで観光収入年間3000億円増加推計
また、外国人の同性婚も認められ、約8年前にタイに移住した瓜生安希さん(42)は同性の現地女性と結婚し、「タイ人は性的少数者に寛容だと感じる。ついに法制化され、本当に結婚できた」と喜びました。
東南アジアで初めてとなる同性婚の合法化により、性的マイノリティに寛容な国をアピールするタイの観光収入は、年間でおよそ3000億円増加すると推計されています。