政府が事実婚も対象の法令に同性パートナー含めるか「迅速な検討」各府省庁に指示

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写真上 内閣府 (hpより)

犯罪被害者等給付金の支給対象に事実婚と同様に同性パートナーも含み得るとの最高裁判決(昨年3月26日)を受け、内閣官房が各府省庁に対して、男女の事実婚も対象となっている法令について、同性パートナーも含まれるかどうかの報告を昨年末までに要請した結果が21日発表されました。
事実婚対象の法令154のうち、同性パートナーが「含み得る」が24、残り130法令が「さらなる検討が必要」という結果でした。
この130法令について「法令が適用されるか否かの予測可能性を確保する観点から」各法令での同性パートナーの取り扱いについて早期に結論を得るために、各府省庁に対して同日、内閣官房副長官補が検討の迅速化を指示しました。

会見資料に出された、同性パートナーが「含まれ得る」とされた法令

く「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」と同一又は類似の文言を含む規定の対象に同性パートナーが「含まれ得る」とされた法令>
・特定秘密の保護に関する法律
・配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律
・重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律
・犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律
・犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律施行令
・オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律
・国際連合安全保障理事会決議第千ニ百六十七号等を踏まえ我が国が実施する財産の凍結等に関する特別措置法
国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律
・特定複合観光施設区域整備法
・児童虐待の防止等に関する法律
・債権管理回収業に関する特別措置法
・民事執行法
・借地借家法
・少年の保護事件に係る補償に関する法律
・刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律 少年院法
少年鑑別所法
・出入国管理及び難民認定法
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第十六条第八号に規定するやむを得ない事由を定める政令
・公営住宅法
・特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律
・住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律
・高齢者の居住の安定確保に関する法律
・公営住宅法施行令

最高裁判決を重く受け止め改めてよく吟味など3つの方針で検討を指示

内閣官房副長官補の指示には以下3つの検討方針が示されています。
① 最高裁判決を重く受け止め、その内容を改めてよく吟味するとともに、同性パートナーも含まれ得るとされた法令も参考にしながら、検討を加速化すること。
② 国会審議で偏見等に基づく解釈はしてはならないなどの指摘があった点に十分留意すること。
③ 関連する法令がある場合は、各制度のバランスが保たれるよう関係府省庁間でよく調整すること。

石川大我議員「どの条文で、どんな効果があるか」具体的に示すべき

写真上 内閣官房担当者に指摘する石川大我参議院議員

会見の翌日には、石川大我参議院議員(立憲)が内閣官房の担当者に対して、154本の事実婚を定める法令のうち、24が「含まれ得る」との判断について会見で出された資料が法令名だけだったため、「どの条文で、どんな効果があるのか不明」と指摘し、今後、各府省庁に対して「具体的な条文と同性カップルの権利がどう保護されるのかヒアリングしていきたい」と述べました。
石川議員は「私たちは異性のカップルと同じように働き、税金を納め、保険料も納めています。同性婚訴訟において(同性婚を認めていないことについて)違憲判決が出る中、154の法令の内、24しか「含まれ得る」とされないのはあまりに少なすぎると思います」と語り、今後も関係府省庁に対する要請を強める決意を新たにしました。

石川議員が性急な不支給対応を批判

また、この各府省庁に対する検討が指示されている最中に、長崎県大村市在住の同性カップルが申請していた移転費受給請求に対して、一方だけにしか認められなかった問題が発生しました。これに対して、石川議員は「『さらなる検討が必要』とされた雇用保険法が関係していると思われます。検討が必要と言っておきながら、不支給の決定をご本人に連絡するのは不誠実ではないでしょうか。結論を急がず、『検討中』とすべきだと思います」と、性急な不支給対応を批判しました。

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