犯罪被害者遺族に同性パートナー含む最高裁判決で類似規定の検討法相が答弁

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写真上 質問する石川大我議員(11日、参院法務委員会)

参議院法務委員会は11日、犯罪被害者支援弁護士制度の創設を含む総合法律支援法の一部を改正する法律案審議で、先月の最高裁判決を受けて、新設の同制度に事実婚関係にあった被害者遺族に同性パートナーを含むべきとの石川大我議員(立憲民主党)の質問に対し、小泉龍司法相は「最高裁判決の趣旨を十分踏まえて、(国会の)議論も十分踏まえておっしゃるような考え方を共有しつつ、しっかりと取り組みたい」と前向きな答弁をしました。

国外犯罪被害者弔慰金支給にも最高裁判決踏まえ対応検討

さらに石川議員は、犯罪被害者給付金法に同性カップルも含まれるとの最高裁判決を受けて、警察庁が判決翌日に全国の都道府県警察に対し、同性であることを理由に不支給としないよう文書発出したことを挙げ、警察庁所管には同じような国外犯罪被害弔慰金の支給に関する法律があり、事実婚も含まれると規定されており、同性パートナーも認められると解釈してよいか質しました。
江口有隣政府参考人も「今回の最高裁判決の趣旨を踏まえ、その制度の趣旨、目的に照らして適切に対応してまいりたい」と答弁しました。

法務省所管の9つの類似法にも「しっかり検討」法相答弁

続けて石川議員が、事実婚を含めた規定がある9つの法務省所管の法律について、同性パートナーも含まれるかと質したのに対して、小泉法相から「法律の趣旨、関連する法令制度全体の動向を踏まえて検討していく必要がある。ただ、最高裁の判例、判決もあり、国会での議論もあるのでしっかり取り組んでいきたい」との答弁を引き出しました。

類似法令で同性パートナーを対象としない合理的な根拠精査の報告求める

 

石川議員は、これまでの政府答弁が、事実婚の解釈に同性カップルを排除していたことを挙げ、今後、法務省所管の類似の法律について同性パートナーを排除しないで、早期の検討を促した上で、国や地方公共団体、企業も含めた組織が、異性の事実婚パートナーを対象とする各種法令及び制度の規定、運用について同正の事実婚パートナーを対象としていない場合には、その取扱いに合理的な根拠があるかの精査を各省庁に対応を求め、法務省の精査結果を法務委員会に報告するよう求めました。
佐々木さやか法務委員長は、この件についての理事会協議を約束しました。

同性婚制度に向けた国民的な議論を受け止めると法相

また石川議員は、婚姻の平等としての同性婚法制化の実現について、子育てしている男性のカップルや、子育てしている女性のカップルの子どもの親権問題や育児休業法の対象外問題など、社会的認知が得られないことでの苦悩など具体例を挙げながら、世論調査でも7割以上の国民が同性婚賛成で、若い世代では9割の及ぶことを挙げ、婚姻の平等、同性婚制度が先進国中心に37か国で導入され1か国も政権交代しても止めた国がないことも挙げたうえで、同性婚制度がないなかで、当事者の皆さんの尊厳が守られていない現状に対して法相が国民的な議論の先頭を切るよう質しました。
これに対し小泉法相は、「ご指摘していただいたことは大変重要な要素であり、国民的議論において、まさにそういたことも議論を深めていただきたい。国民的な議論の中で行われる様々な意見、そういったものの重要な要素であることは事実であると思います。しっかりとお話を承りました。しっかりと受け止めます」と、同性婚制度導入に向けた国民的な議論への前向きな答弁をしました。

自民、共産議員からも「同性カップル含む」べき

この日の委員会では、自民党の森まさこ議員が同制度への同性カップルを含めるべきと、共産党の仁比聡平議員も同性婚実現への言及をするなどの意見が述べられました。

付帯決議に「異性であるか同性であるかを問わず事実上婚姻関係と同様」

この法案は、全会一致で採決された後、「政府は、施行にあたり格段の配慮をすべき」として、「異性であるか同性であるかを問わず、犯罪被害者と事実上婚姻関係と同様の事情にあるものを加える」との文言を含む7付帯決議案を全会一致で採決しました。同案は参議院先議で議論され、この後、衆議院で議論されます。

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