「定住者」の在留資格求めた日米同性カップルの控訴審 東京高裁が訴えを棄却

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「同性カップル、男女の夫婦と同等の地位を確立しているとはいえない」

2015年に米国で日本人と同性婚し、現在日本で暮らす米国人パートナーに「特定活動」の在留資格が与えられたものの、「定住者」の在留資格を与えなかった入管当局の対応は違法だとして、同性カップルが控訴していた訴訟の二審で東京高裁(梅本圭一郎裁判長)は11月2日、「日本では同性カップルが男女の夫婦と同等の地位を社会生活上確立しているとはいえない」として、憲法違反にはならないとの判断を示し、控訴を棄却しました。

日本人の康平さんのパートナーとして日本での生活を続けるため、米国人のアンドリューさんは、入管に対して2018年から19年にかけて、「定住者」の在留資格変更を複数回申請しましたが、いずれも「同性の日本国籍と外国籍カップルだから」という理由で、許可されませんでした。

東京地裁高裁

国の運用を違憲と初の判決

昨年9月30日、東京地裁は、外国人どうしの同性婚には配偶者に「特定活動」の在留資格を与えているのに、日本人と同性婚した外国人配偶者には与えない国の運用は「憲法14条の平等原則の趣旨に反する」とし、「男性に特定活動の資格を認めなかったのは違法だった」との判決を下しました。一方で、求めていた「定住者」在留資格は却下されました。アンドリューさんには今年3月になって「特定活動」の在留資格が認められています。

あくまで「定住者」資格を

今回の控訴審は①「特定活動」資格より永住資格に移行しやすい「定住者」の在留資格を認めること等を求める行政訴訟②「定住者」の在留資格が認められなかったことによりアンドリューさん及び康平さんに生じた損害賠償を求める国家賠償請求訴訟を提訴したものです。

高裁控訴審で梅本裁判長は、「憲法14条違反について、入管法上、男女間の婚姻関係については在留資格を付与する規定が設けられているのに対し、同性パートナーの関係についてはこれに相当する規定が設けられていない点で、法の下の平等に反するかどうかは問題となり得る。この点、同性間の婚姻が認められていない我が国においても、同性パートナー関係において差別の撤廃や社会的地位の擁護に向けた取り組み、提言などが公的機関及び民間の団体を問わず広く行われており」としながらも、「同性間の婚姻について、男女間の婚姻関係と同等の地位が社会生活上確立しているといえるほどの実態が不許可した当時から存在していたとまでは認められない」として訴えを却下しました。

判決要旨はこちらから

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