【速報】同性カップルにも「移転費」を!訴訟、第1回口頭弁論が終了。

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2025年9月8日16:48
 法律婚のカップルに加え、男女の事実婚のカップルにも支払われる、国の雇用保険の制度「移転費」が同性カップルに支給されなかった問題で、長崎県大村市の松浦慶太さんと藤山裕太郎さんが国を相手に行う訴訟の第1回口頭弁論が本日午後、長崎地方裁判所で行われました。

不支給の決定うけ

 「移転費」はハローワークの紹介などで、就職した人と親族に支給される引越し費用や交通費です。松浦さんがパートナーを親族として申請したところ、ハローワークから支給しない旨の連絡があり、その後、国の制度に基づき審査請求をしましたが長崎労働局が4月、「処分は正当」として審査請求を棄却していました。

「LGBTのため戦う決意応援したい」「ふたりの関係ないもの、それでいいのか」支援者が激励

 口頭弁論には多くの支援者が駆けつけました。東京から参加した前参議院議員の石川大我さんは「『犯罪被害者給付金制度』で同性パートナーにも給付を認められる可能性が最高裁で示される中、なぜ移転費が認められないのか。金銭的な負担はもちろん、裁判をすることは、ふたりにとって大きな負担だ。それを顧みず、私たちLGBTのために闘う決意をしたふたりを応援したい。国会では154の事実婚規定のうち24が同性カップルも適用される、との言質を得ている。一緒に頑張ろう」と激励しました。

 同じく夏の参議院選挙に福井県から出馬、惜敗したかずえちゃん(藤原和士)さんは「YouTubeの動画インタビューをお願いした時、おふたりの家族や友人、職場、地域の方々がおふたりを『家族』として捉えているんだな、ということを感じた。(国は)ふたりの関係をないものとして扱う、それでいいのか、と感じる。声をあげることは勇気のいることだが、これはふたりだけの戦いではない。当事者が壁にぶつかったときの、一人ひとりの勇気に繋がるものだ」と言葉をかけました。

夫(未届)に二重線引かれ 法廷で意見陳述

 14時25分、原告らが拍手と「がんばれ!」の声で見送られながら、裁判所に入りました。 NHKをはじめ、長崎のTVや新聞メディアも多数駆けつけました。長崎地方裁判所の401号法廷には、多くの傍聴者が集まりました。

 15時から始まった口頭弁論では、松浦さん、藤山さんからの意見陳述が行われました。

 松浦さんは、出会った尼崎市で「パートナーシップ宣誓制度」を利用したことや、神社で家族らに見守られながら結婚式を挙げたことなど、藤山さんとの事実婚関係をいかに紡いできたか、述べた後「こんなにも、互いを人生の伴侶として、社会的、精神的、経済的に結婚に相当する関係を築いてきたのに、事実婚関係ではないのでしょうか。他人なのでしょうか」と述べました。

 藤山さんはカップルとして経験した深い精神的苦痛について話した上で、「慶太さんが提出した雇用保険の移転費の書類には、家族欄の「夫(未届)という文字に二重線が引かれ、抹消されて、不支給の証拠として家に送付されました」とのエピソードを紹介。「まるで、あなたたちは存在してはいけない、と言われたように感じました」と陳述しました。

 国は答弁書で、請求の棄却を求めました。今後はオンラインでの証拠や資料の提出が進み、1年半後くらいに証人尋問があり、その後、判決になるだろう、との見通しが担当弁護士から示されました。

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<訂正>
記事中の「公判」は刑事訴訟での表現のため、「口頭弁論」に改めました。(9日)

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