写真上 トランプ2が批判する中、最高裁は合法化した同性婚を控訴審理するか注目される。
米最高裁は、全米で同性婚を合法化した2015年のオーバーグフェル対ホッジズ事件の画期的な判決を覆すよう求める、ケンタッキー州の元群書記官キム・デイビスさんの控訴を審理するかどうかの選択に直面しています。
当時デイビス書記官は、同判決が確定していたにもかかわらず、宗教上の理由で同性カップルへの結婚許可証の発行を拒否したため、2015年に6日間拘留されたことで、精神的損害賠償や弁護士費用などを求めて2020年に控訴しましたが、最高裁は棄却していました。
デイビスさんは先月、再び精神的賠償として10万ドル、弁護士費用として26万ドルの陪審評決を求めて控訴していますが、同性婚に対する連邦政府の保護に対する脅威となる可能性があるとして注目されています。
「同性婚合法化を覆すための手段として利用しようとしている」
最高裁で控訴棄却が確定しているため、原則的には控訴はできませんが、代理人のマット・ステイバー弁護士が提出した最高裁への請願書には「控訴は同性婚に対する様々な宗教的反対に基づいており、同性婚はアメリカ憲法に反する」と主張し、同性婚を合法化したオーバーグフェル判決は「とんでもなく間違っていた、非常に有害だった、様々な憲法条項の合理的な解釈の範囲をはるかに超えていた」と書き、先月提起したデイビスさんの訴訟は「『憲法に何の根拠もない』実質的な適正手続きを再検討する絶好の機会を提供する」「最高裁が再検討しない限りオーバーグフェル判決は宗教の自由に破滅的な結果をもたらし続けるだろう」という内容で、掲載したピンクニュースは「(最高裁で棄却されているにもかかわらず、あえて提訴し世論を喚起することで)デイビスさんはこの訴訟を、同性婚合法化を覆すための手段として利用しようとしているのだ」と指摘しています。
保守派の大多数が訴訟を利用しても、最高裁は覆す用意があるとは思えない
ピンクニュースによると、2015年にデイビスさんを訴えた夫婦の弁護士ウィリアム・パウエルさんはニューズ・ウィーク誌への声明で「最高裁は同様にデイビスさんの主張はそれ以上の考慮に値しないことに同意するだろうと確信している」と述べました。
また、ノースイースタン大学法学部のダニエル・アーマン教授も同様に、同誌に「保守派の大多数がこの訴訟を利用して、同性婚に宗教的反対をする人々の権利を拡大する可能性はある」としながらも「それは権利そのものを覆すことと同じではないし、最高裁の多数派がそれを実行する用意があるとは思えない」と語っています。
来月中に受理するかどうか決定を下す可能性
最高裁は来月中にこの訴訟を受理するかどうかを決定する可能性がありますが、どちらの方向性に傾かは公表していません。
現在、最高裁は保守派とリベラル派が6対3で保守派が多数派を占めており、6人の判事のうち3人(ニール・ゴーサッチ、ブレット・カバノー、エミール・コニー・バレット)は、トランプ大統領によって任命され、3人(ジョン・ロバーツ、クラレンス・トーマス、サミュエル・アリト)はG・W・ブッシュ大統領によって任命されました。
リベラル派のソニア・ソトマイヨール判事と、エレナ・ケイガン判事はオバマ大統領に、ケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事はバイデン大統領によって任命されました。
反LGBTQ+を強調するトランプ2での最高裁の判断が注目される
2期目の当選直後に、LGBTQ+に反対の姿勢を強調するトランプ政権下で最高裁に宗教的な圧力ともとれる同性婚反対の訴訟提起は、最高裁が受理するかどうか来月ともされる決定に注目が集まっています。
参考 pinknews