「最高裁判決を待つ必要はない、国は婚姻平等の実現を」署名と要望書提出

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写真上 日本記者クラブでの会見(会見動画より)

同性婚を認めない戸籍などの現行規定を全国5つの高裁が「違憲」判断し、早期の立法を促すなか、「Marriage For All Japan –結婚の自由をすべての人に」は4月23日、約3万筆の署名と法制化を求める要請書を超党派LGBT議連と主要各政党に提出するとともに、日本記者クラブで会見を開き、「最高裁判決を待つ必要はない。国は婚姻平等の実現を」と訴え、政府が立法作業を進めるよう求めました。

 

5高裁で「違憲」、パートナーシップ人口カバー率92%など立法作業段階

 

「日本でも同性婚の実現を!政府・国会は『注視』でなく、最高裁判決を待たずに今すぐ同性婚法制化へ動いてください。」と要望する署名(当日までに2万9456筆)と、「同性婚法制化のための立法作業を直ちに求める」要望書が超党派LGBT議連と主要各政党に提出されました。

要望書では、①5つの高裁全てで現行法を違憲とする判断が下され、②自治体パートナーシップ制度の人口カバー率が92%超、法制化に賛同する市民が7割超という客観データがあることで、同性婚法制化に関する日本国内の社会情勢が、議論・検討の段階にはなく、立法作業に着手する段階にあることがより一層明らかになったとして、「立法作業を超党派によって積極的に推進し、同様の立法作業を政府に対して強く働きかけてください」と要望する内容です。

(全文はこちら)

 

婚姻の不平等状態は何も変わらない、社会を前に進めて

 

会見では、原告や弁護団などが「国の“注視”を貫く姿勢は、同性愛者を認めず、結婚させないと言っているようだ。今すぐ立法してほしい」「最高裁判決を待つ必要はない。国は婚姻平等の実現を」などと訴えました。

北海道訴訟の原告・中谷衣里さんは、「いくら違憲判決が出ても、国会が法整備に取りかからなければ婚姻の不平等状態は何も変わりません。社会を前に進めてください」と訴えました。

同じ北海道訴訟の須田布美子弁護士は、「全国でも5つもの高裁が、民法のような基本的な法律の違憲性を口々に指摘するというのは、憲政史上まれにみる事態であり、この状況を放置することは許されない」「すでに国民の多くが同性婚の法制化に賛成していることは多くの世論調査が明らにしている。とにかく今すぐ着手してほしい」と訴えました。

 

合理的で経済的なアップデートを今すぐ自信をもってやってもらいたい

 

東京1次訴訟の原告・小野春さんは、「パートナーと、かつての婚姻で授かった3人の連れ子を育ててきて、子どもたちにとっては2人とも親なのに、次男の入院手続きが出来なかったり、学校で家族と想定されず苦労をかけたり、外では他人のように扱われます。私はがんを患っていて、いつそれが目覚めるかわからない。爆弾を抱えている状態で、万が一死ぬときに、家族が家族と扱われず、尊厳が踏みにじられることがあったら、恨んでも恨みきれません。1日でも先延ばしされては困ります。結婚させてください」と語りました。

九州訴訟の原告・こうぞうさんは、「“注視”という言葉を繰り返す国の冷たさに悲しみを覚えます。私は日本が優しく温かな国だと思っています」と語り、パートナーのゆうたさんは、「(同性婚の法制化は)いまある法律の文言修正で済みます。とても合理的で経済的なアップデートを今すぐに自信をもってやってもらいたい」と訴えました。

 

”注視”でなくちゃんと向き合って法制化して

 

関西訴訟の田中昭全さんは、「小学校6年生の時にゲイであることを自覚して、そういう未来はないのかと諦め、在学中も誰にも相談できず、社会人になって、結婚は、孫はとか散々せっつかれて、結婚って何だろうといっぱい考えて。ようやく生涯のパートナーが見つかった時、法律は私たちを対象にしていないのだと改めて思わされました。ようやく大阪高裁で私たちが求めることを言ってくれました。後は立法だけです。議員の皆さんよろしくお願いします」と語りました、パートナーの川田有希さんは、「私たちは普通に結婚して普通に暮らせる権利を求めているだけです。“注視”じゃなくて、ちゃんと向き合って、法制化してください」と語りました。

 

マスコミは「政府に最高裁に向けた具体的戦略があるのか」聞くべき

 

会見には、憲法学者の木村草太・東京都立大教授も同席し、高裁判決の意義について解説しました。

木村教授は、「この訴訟の争点は複雑で、婚姻にはたくさんの効果があり、原告は、婚姻できないことによってこれら全てが得られないことの違憲性を問うている。裁判所が民法・戸籍法のどこが違憲かと裁定する際、「全部違憲」と「部分違憲」があり、「部分違憲」では解消法としてどのような方法が許されるのか、例えば別制度を設けるとか、という判断になる。これまでの判決を整理すると、地裁は「部分違憲」だった。大阪は合憲と言われるが「部分違憲」については判断しておらず、別制度は必要と言っている。高裁はほぼ「全部違憲」だった。問題は、国側が最高裁で逆転できるのか、ということ。国の主張には無理があるし、立法しない理由を説明できないから「“注視”する」としか言えないのだ。これまでの判決を見ても地裁・高裁が違憲で最高裁が合憲ということは考え難い。国会、メディア、法学界は違憲判決を前提にした対応を検討する段階に来ている。メディアはそろそろ『国が逆転できるのか』の見通しや『政府に最高裁に向けた具体的戦略があるのか』を聞くべきだろう」と明快に解説しました。

 

 

会見動画

参考

朝日新聞
東京新聞
北海道新聞
神奈川新聞
熊本日日新聞

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