写真上 オンライン集会の様子 「Marriage For All Japan ― 結婚の自由をすべての人に」のサイトより
同性パートナーを犯罪遺族給付金の支給対象として認める最高裁判決や、男女事実婚と同じ続柄記載の住民票を交付する自治体がある中で、来年実施される国勢調査を前に、「同性パートナーを配偶者として集計するよう」求めるオンライン集会が7月30日に開かれました。
これまで「配偶者」と記載してもエラーや「他の親族」に付け替えられ
主催した「Marriage For All Japan ― 結婚の自由をすべての人に」よると、これまで国勢調査では同性カップルは、世帯主との続柄を「配偶者」と回答してもエラーとして扱われたり、「他の親族」の分類に付け替えられたりして、配偶者がいないものとして集計されてきました。
2020年には国内の複数のLGBTQ+支援関連団体が共同発起して「同性カップルの世帯数を集計するよう」要望書などを提出しましたが、高市早苗総務相(当時)は、「我が国の婚姻制度は異性間に現在は限定されている」として、集計されませんでした。
法整備のためにも正確な実態把握する必要がある
集会では、今年3月、札幌高裁が同性婚を認めない民法などの現行規定を違憲判決とするなど法的判断が示され、国会の立法不作為が問われている状況で、5年に1回、来年実施される国勢調査に向けて「法整備のためにも正確に実態を把握する必要がある」(特定NPO法人カラフルブランケッツ理事長の井上ひとみさん)として同性パートナーを配偶者として集計するよう求める要望が出されました。
本人が書いた集計を総務省の審議会で扱いの議論を
早稲田大学社会科学総合学術院の釜野さおり教授は、同性パートナーを配偶者として集計することについて「男性どうし、女性どうしのカップルの比率や格差、国籍の組み合わせや年齢層、子どもがいるかどうか、居住地、求職の有無などの実情を把握できる」と指摘し、そのうえで「医療や福祉、防災や行政サービスのために必要なデータであり、ビジネスの面でも、結婚式場や住宅ローン、生命保険など、様々な分野に活かすことができる」と強調しました。そして「まずは(本人たちが)書いたとおりに集計する試みをやってみて、今後、総務省に審議会を立ち上げ、その統計をどう扱うか議論すべきで、記入されたものをうやむやにするのはもう終わりにすべきです」と語りました。
実態把握目的なら同性カップルカウントしないのは疑問
集会に参加した森沢恭子品川区長は、「実態を把握するのが目的であれば、同性カップルをカウントしないのは疑問。カウントできるように声を上げていけたら」と語りました。
また、「LGBTに関する課題を考える議員連盟」事務局長の谷合正明参院議員(公明)は、議連としても6月下旬に林芳正官房長官に要望したことを報告し、「記載が(「他の親族」に)書き換えられるのは、尊厳を守る点からいかがなものか」と述べました。
参考