【参院選】ゲイをオープンにする国会議員、石川大我参議院議員インタビュー

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 7月20日(日)に投開票が行われる参議院議員選挙。LGBT(ゲイ)をオープンにして国会議員として活動してきた石川大我さんが改選を迎えます。編集部では、選挙終盤、石川さんに、これまでの活動内容など、選挙戦への思いを緊急インタビューしました。(7月19日23:30)

変わらない政治を変えたい

ーまず、石川大我さんはいつ、LGBTコミュニティーとつながったのですか?
(石川)自分がLGBTの当事者に出会ったのは25歳を過ぎてからでした。1999年の秋です。遅いほうだと思います。インターネットを通じて、「自分と同じ存在がいる!」そう気づき、勇気を得ました。だから、LGBTのユースを繋ぐNPO法人をつくり活動しました。孤立する当事者が友達を得て繋がることが当事者が元気を出す第一歩だと思ったからです。

LGBTの権利擁護のための活動をはじめたのは、その後すぐで2000年です。まだ、LGBTという言葉は日本ではメジャーではありませんでした。「性同一性障害と同性愛の人権問題」として語られていました。ゲイとトランス女性を勘違いする人が多く、カミングアウトして社会啓発運動をしている当事者も、まだ、数えるほどでしたね。

ーゲイとして、豊島区会議員として2期8年、国会議員として6年活動されました。日本社会はどのように変わりましたか?
(石川)区議に当選したのが2011年です。LGBTという言葉がメジャーになり、2015年には同性同士のパートナー制度が渋谷区と世田谷区にできました。豊島区では2019年に導入されました。2019年の参議院選挙、全国比例区で全国の皆さんから73,799票を頂き、国会へと送っていただきました。当時は安倍総理、予算委員会でさっそく「同性婚を認めるべき」と質問をすることができました。

今では、同性婚に賛成の世論調査は7割を超えていますし、パートナー制度も人口ベースで9割の自治体に広がりました。同性婚訴訟では5つの高裁で(同性婚を認めないのは、憲法の人権規定に反するという)違憲判決が出ています。世の中は大きく変わりましたが、変わらないのは政治です。これを変えて、同性婚を実現したいです。

「日本人ファースト」ではなく「人権ファースト」の国をつくりたい

ー今回の参議院選挙、17日間をもうすぐ終えますが、どう感じていますか?
(石川)当初、今回の選挙は物価高や消費税、ガゾリンの暫定税率廃止についての問題など、経済の話が中心になると思っていました。また社会保障などです。しかし、かなり早い頃から、外国人差別につながるような、外国人に対するバッシングが酷くなっていきました。そうした声に支持が大きく集まり、とても危機感を強めています。

ーLGBTや同性婚についても言及がありましたね。
(石川)「日本人ファースト」を訴える政党の党首は「LGBTに反対」と話したと報道されています。政策ではなくて、存在そのものへの否定であり、許されないと思います。最近では発達障害はない、といった非科学的な発言や、女性蔑視、高齢者蔑視とも取れる発言をしています。とうとう、「反日日本人と戦っている」と発言をする始末です。「日本人ファースト」なのに日本人と戦っている?と。つまり、彼らにとって、日本人というのは自分たちの政策に共鳴する者しか日本人でない、と言っているのと同義だと思います。差別や分断は新たな差別や分断を生むだけです。多様性を尊重して共生していく社会を目指さないと生き辛い世の中になります。「人権ファースト」の日本を作っていきたいですね。

同性婚を実現し、若いLGBTが未来に希望を持てる日本を

ー明日の20日(日)には投票日を迎えます。手応えは?
(石川)今回の選挙、本当に厳しい選挙です。前回と同じ得票では絶対に当選できないレベルです。しかし、この6年間でLGBTだけでなく、入管庁による難民認定に潜む問題や、共同親権について、DVに被害者支援などにも取り組みました。「弱い立場の人たちに寄り添う」政治をしてきましたので、本当に多くの方達が17日間の選挙に駆けつけてくれたことは大きな力になったと思います。

ーLGBTの若い世代の皆さんへ、メッセージはありますか?
(石川)LGBTの若い世代の皆さんが未来に希望を持てる政策を実現していきたいと思います。来年夏くらいには同性婚訴訟の最高裁判決が出ます。その後、同性婚を実現させるためには国会で活動する人が必要です。婚姻と同じ権利になるのか、それともパートナー制度と同じような制度に留まるのか。自分には、大きな役割があると思っています。これからの子どもたちが、私たちの受けた差別や偏見や不利益の数々…。これを受けなくてもいい社会を作ってバトンタッチすることが、今の時代を生きるLGBT当事者としての責任だと思っています。ぜひ、頑張りますので、一緒に手をつないで未来を創っていきましょう。

*インタビューは7月19日(土)に行われたものです(編集部)

*石川大我候補   http://www.taigaweb.jp/

参議院選挙の仕組み

参議院選挙はひとり2票投票する。1票目は住民票のある地域の選挙区(都道府県単位)。2票目は政党名か個人名を書く全国比例区。石川大我さんはこの全国比例区に立候補している。全国比例区は全都道府県から個人名を書き投票することができる。政党ごとの当選者数を決めた後、個人名の投票が多い順に当選する仕組み。

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